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10月25日は株価急落、今後の市場を見るためのポイントとは?

 10月25日の日経平均株価は前日比-822.45円(-3.72%)の21,268.73円と大きな下落となりました。先月末比では-2,851.31円(-11.82%)となり、月間では、2008年10月以来となる2,000円を超える下げ幅です。
 本日の大幅下落は、米国株式市場の2%を超す大幅な下落が引き金となったものです。米国株式市場は、米中貿易摩擦や金利上昇に加えて、中東情勢の緊迫化なども台頭し、不安定な状況となっていました。さらに、企業の決算発表で、国際部門での利益率の悪化などについて言及されたことが背景にあります。

今後の市場を見る上での4つのポイント

1.米国中間選挙
2.米中貿易摩擦
3.米国の金融政策
4.中東の政治リスク

 今後の市場を見る上での重要なポイントをまとめましたので、ぜひご一読ください。

1.米国中間選挙
 11月6日に行われる米国中間選挙では、現在両院共に過半数を占めている共和党の下院選での苦戦が報道されています。一部では、下院での与野党逆転の可能性も言われており、そうなった場合、いわゆる「ねじれ議会」(※1)となり、トランプ政権の政策執行能力への懸念が高まります。
 この2年間の米国の株式市場は、前政権からの好業績の維持に加え、トランプ政権下での大型減税と規制緩和によって支えられてきただけに、政権のレームダック(※2)化は嫌気されるところです。
 日本の株式市場は、米国の好景気にけん引されて上昇してきており、現在は、米国の市場の不安定な状況がそのまま反映されています。
 共和党が両院での過半数を維持できれば、米国株式市場は落ち着きを取り戻すと見られますが、まさに米国中間選挙は、トランプ政権の後半2年間の指導力を占う重要な選挙になる見込みです。

※1「ねじれ議会」...次期議会で上院は共和党が過半数を維持し、下院は民主党が過半数を奪還して「ねじれ議会」となった場合、重要法案の可決が困難になる可能性がある。
※2「レームダック」…lame duck。任期間近等の理由で政治的影響力を失った大統領や首相をたとえる言葉。
2.米中貿易摩擦
 米中の貿易摩擦は、両者一歩も引かず、膠着状態の模様です。すでに、一部の米国企業の決算に米中貿易摩擦の悪影響が出はじめており、さらに広範囲に影響が出る懸念が市場では広まっています。
 同様に日本企業も、中国を生産拠点として進出した企業をはじめ、米中貿易摩擦の影響を間接的に受けると思われ、業績への懸念が高まりつつあります。
 米中両国の交渉は、中間選挙の結果とも絡んでおり、11月以降に交渉がどのように進展するかが重要な注目点です。
3.米国の金融政策
 米国では、米連邦準備理事会(FRB)による利上げが進められています。FRBは2019年中に利上げは終了するとしていますが、すでに長期金利は3%を上回っており、米国景気にダメージを与えるのではないかとの懸念が出つつあります。
 従来不可侵であったはずの金融政策の領域に、トランプ大統領が公然と反対を表明するなど、金融政策の独立性への指摘も出ており、FRBの金融政策は今後の重要なポイントとなります。
4.中東の政治リスク
 トルコで起きたサウジアラビア国籍の記者の殺害事件は、大きく中東の政治バランスに影響を与えつつあります。事態の収拾のしかた次第で、米国寄りであったサウジアラビアの立ち位置が変わり、中東の情勢がいっそう緊迫化するリスクが指摘されています。
 サウジアラビアの財政赤字は深刻であり、中東情勢の緊迫化により海外からの投資が停滞すると、過去に投資した資産の売却を迫られ、世界の株式や債券等の価格への影響があると予想されます。原油価格の動向にも大きな影響を与えるだけに、中東での高まる政治リスクは予断を許しません。

 今後も、株式市場において大きな変動がある場合は解説レポートをお届けします。投資の参考にご覧ください。

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■本資料について
・投資環境に関する情報提供のために、2018年10月25日現在の一般報道をもとに、株式会社FOLIO投資戦略部が作成した資料です。
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