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【月次レポート】荒れた8月相場。それでも日経平均の下落幅が限定的となった2つの理由

▼3つのポイント 
✔ 理由① 各国の景気対策で警戒感が収まる
✔ 理由② 各国の超長期金利の低金利水準が、株式市場にもポジティブに影響
✔ 9月は日米欧の金融政策が非常に注目されている


 2019年8月末の日経平均株価は、2万0704.37円と前月末から817.16円下落(-3.79%)しました。世界の株式市場は、トランプ米大統領が追加の対中制裁関税「第4弾」の発動を表明したことや、FOLIOの臨時レポートでもお伝えしましたが、米10年国債利回りと米2年国債利回りが「逆イールド」となったことで、景気後退への警戒感が強まるなど、何度か大幅に下落する場面がありました。しかし、月間を通してみると小幅な下落にとどまりました。ネガティブな話題が事欠かなかった中で、小幅な下落で収まった理由は下記の点が考えられます。

景気刺激策への期待 
 1つ目が、各国の景気刺激策への期待が広がったためです。経済指標の悪化が目立つドイツや中国から景気刺激に前向きな話題が相次ぎました。ドイツの財務相が18日、将来の経済危機時には最大500億ユーロの追加の財政支出が可能であると示唆したことが伝わりました。
 また、中国の中央銀行である中国人民銀行が20日に公表した銀行貸し出しの新たな指標金利は、政策金利である貸出基準金利を下回ったことで、実質的な「利下げ」となりました。世界的に金融緩和や財政出動を伴う景気刺激策が広がるとの見方が、景気後退への過度な警戒感を後退させたと考えられます。

超長期金利が過去最低を更新
 2つ目は、世界各国で30年債利回りなどの償還期間の長い金利が、過去最低の水準を更新し続けているためです。米国では、米30年債利回りが一時過去最低の1.90%まで低下、ヨーロッパにおいても同様に、ドイツやオランダでは8月に入り30年債利回りが初めてマイナス金利となり、スイスでは50年債が-0.4%台となり、過去最低を更新しました。米中対立の激化から景気への不安が強まり、安全資産である国債に投資家の資金が流れ込み、投資期間のリスクを度外視した金利低下が未知の領域に入ってきました。

 このように金利の低下が続く状況から、米政府は年限の極めて長い国債の発行を模索するという新たな動きが検討されるようになってきました。米財務長官は28日、100年債の発行について「非常に真剣に検討されている」と述べました。米国債は現状では30年債が最長ですが、今の市場環境では100年債でも低い金利で資金調達できる可能性が出てきました。また、米長期債利回りの低下は、相対的に米株の配当利回りが高まったという点でも、株式市場にとっては比較的ポジティブな話題となりました

今後の注目点
 9月は、日米欧の金融政策の動向が非常に注目されています。欧州中央銀行(ECB)が9月12日の理事会で利下げに踏み切るとの観測が市場では高まっています。また、9月17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げがほぼ確実視されています。日銀も9月18~19日に金融政策決定会合を予定しており、すでに大きなマイナス金利にあるなかで、追加緩和を迫られる可能性があります。
 金融政策に対する市場の織り込み度合いと実際の会合結果との乖離で、株式市場、金融市場ともに大きな動きが起こりうる可能性はありますが、不確実性が高くなっている今の相場において、急な環境の変化にも柔軟に対応しようとする心構えを持つことが大切です。

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