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【月次レポート】5分でわかる!金融市場と個別株トピック

今月のレポートについて

▼3つのポイント
✔世界各国の株価は回復、一方、長期金利が急低下
✔米国の長期金利と短期金利が逆転する「逆イールド」が発生
✔悲観的な債券市場と楽観的な株式市場の二極化

■世界各国の株価は回復、一方、長期金利が急低下
 2019年3月29日の日経平均株価は、21,205.81円と先月から-179.35円(-0.83%)の小幅での下落でした。また、3月の世界の株式市場は、年初から続いている上昇の勢いは弱まりつつありますが、緩やかに回復しています。

 一方で、債券市場では、再び変化が起こり始めました。それは、世界経済の減速懸念が再燃し、その影響が世界各国の長期金利の低下として表れたことです。米国の10年金利は2.4%を下回る約1年3カ月ぶりの低水準になり、またドイツの 10 年金利も2016 年10月以来のマイナス利回り(3月末時点で-0.06%)となりました。ドイツの長期金利が日本を下回ったのは2年5カ月ぶりのことです。この金利低下を引き起こした要因は、以下の2つあると考えられます。

・ECBが年内の利上げを断念
 欧州中央銀行(ECB)は3月7日の理事会で、フォワードガイダンス(政策金利の先行き指針)について、現状の水準で据え置く期間を「2019年夏まで」としていました。しかし、「少なくとも2019年末まで」と変更し、利上げ開始時期の先送りを決めました。

・Fedも2019年の利上げの見通しを引き下げ
 米連邦準備制度(Fed)は、3月20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、2019 年の利上げの見通し(FF レートの見通し〈中央値〉)が昨年 12 月時点では2 回と見込んでいたものの、 0 回へとなりました。

 FedもECBも金融緩和的な姿勢を強めており、その中央銀行の警戒心が皮肉にも世界経済の減速懸念を高めてしまい、結果的に金融市場に不安を与えてしまっています。なぜ中央銀行は、昨年までの利上げに対する強気のスタンスから一転して、弱気になってしまったのでしょうか。恐らく、その理由は実体経済の回復が想定以上に鈍く、中でも特にインフレ期待(物価上昇)に自信が持てなくなってしまったのではないかと考えられます。3月のFOMC後のパウエル議長の会見で「低い原油価格などが影響し、今年の消費者物価指数はFRBの目標より低くなるとみている」と発言。また、ECBのドラギ総裁も28日の講演で「新しい物価見通しに応じて政策金利の先行き指針を調整していく」と発言していることからも、インフレの下振れについて懸念を抱いていることが分かります。

 Fedは前回1月のFOMCで、辛抱強く(Patient)待つと示していました。そのときは「利上げ」の機会を待つという意味合いが強かったはずが、今では「利下げ」の判断を待つとも考えられる状況にも見えます。その自信のなさを見透かしたかのように、債券市場は米国の年内利下げを織り込み始めています。米CMEグループ(シカゴ・マーカンタイル取引所グループ)が試算する今後の政策金利の見通しの確率では、年内に利下げする確率が約70%に高まってきています。

■米国の長期金利と短期金利が逆転する「逆イールド」が発生
 その結果、米国の債券市場では、10年金利が3カ月の金利を下回る長短期金利の逆転する「逆イールド」(※)という現象が発生しました。逆イールドは、景気後退前に高頻度で発生しており、過去の経験則から景気後退のシグナルと金融市場では捉えられています。前回の逆イールドは、リーマンショックの前年である2007年に起こって以来発生しました。しかし、逆イールドが現れてから、実際の景気後退がすぐさま発生するわけではなく、少し時間差があるとされています。逆イールド発生時の過去の株式市場は、景気後退が始まるまでの隙を狙って、景気サイクルの最後の稼ぎどきと言わんばかりに株価が上昇しやすい傾向が見て取れました。1995年、2000年、2006年の過去の利上げ停止局面を振り返ると、最後の利上げから利下げまでの期間は約半年から1年半程度で、同期間中の米国の株式市場は2000年の横ばいだったときを除き、いずれも2割程度上昇しました。悲観の債券市場と比べて、今年の株式市場は順調に上昇を続けています。

※「逆イールド」とは、長期金利と短期金利の差が逆転する現象です。通常は、金利は期間が短い方が低く、長期になればなるほど高くなるという期間構造(順イールド)をしています。逆イールドになるということは、短期の金利が長期の金利よりも高くなるということなので、将来的に政策金利が横這い、もしくは引き下げられることを市場が織り込んだという状況を表しています。

■悲観的な債券市場と楽観的な株式市場の二極化
 金融緩和と実体経済の弱さが綱引きする中で、金融市場では、悲観的な債券市場と楽観的な株式市場の二極化が起こっています。どちらかが正解で、どちらかが間違いなのでしょうか。これからますます混沌としていく状況ですが、何か予期せぬ事態が起こったとしても、落ち着いて行動するという心構えが必要だと考えています。


個別株トピック

・エーザイと第一三共の大手医薬品株 新薬に明暗分かれる
 エーザイは21日、アルツハイマー型認知症の新薬候補「アデュカヌマブ」の国際臨床試験を中止すると発表しました。これまで期待を寄せていた新薬であったため、株価は30%近く下落し、投資家の失望を誘いました。一方、第一三共は29日、開発中の抗がん剤「DS-8201」を巡り英製薬大手と提携すると発表し、対価として最大で69億ドルを受け取ります。この発表後、株価はストップ高となりました。新薬開発の明暗が大手医薬品企業の命運を分ける可能性があり、注目されています。

・好調の東証REIT指数 約3年ぶりの高値
 東証REIT指数は2016年3月以来、ほぼ3年ぶりの高値を付け、3月は3%の上昇となりました。長期金利低下によって、比較的安定した利回りを求める資金がREIT市場に流れてきています。同様に、不動産株も順調です。住友不動産は2015年6月以来の高値となりました。東京のビジネス地区のオフィスの平均空室率は2月で1.78%とほとんど空きがない状態であり、都心のオフィスビルは非常に好況です。世界の景気減速の影響を即時に受けづらい内需のREIT市場、不動産市場が人気を集めています。


ミニテーマのご紹介

 FOLIOでは、2019年3月6日から6月5日までの期間限定で、約1万円から投資できる「ミニテーマ」を公開しています。

 既存の「テーマ投資」では10銘柄に投資していますが、ミニテーマは3銘柄で構成されており、テーマに関連した企業への分散投資の機能を残しつつ、投資金額を1万円前後に抑えた、期間限定商品になります。なお販売期間中は、ミニテーマ購入時の取引手数料も全額キャッシュバック(※)いたします。

※ ミニテーマを売買する際は各銘柄ごとに売買代金の0.5%(1銘柄の最低手数料50円/税抜)の取引手数料をお支払いいただきますが、購入時の取引手数料を後日キャッシュバックします。キャッシュバックの対象はミニテーマ購入時の取引手数料のみで、リバランスおよびテーマ売却時の取引手数料は対象外です。
※※ 下記のデータは、すべて2019年3月29日時点でのデータを用いています。

ミニテーマの現在の価格(2019年3月29日時点)

ミニテーマ公開時からの価格推移(保有株数は3月6日時点※)

※ このデータについて
・2019年3月6日時点での当該テーマ(バランス型)の構成銘柄・保有株数での価格推移です。
・各営業日の終値と保有株数を掛け合わせて、価格を計算しています。
・リバランスは考慮しておりません。
・データの算出に、配当及び取引手数料、譲渡益税、消費税その他の諸税、諸経費は考慮しておりません。
・信頼できると考えられる情報(株価)を用いておりますが、情報の正確性、完全性等について保証するものではありません。
・将来の運用成果等を示唆又は保証するものではありません。

各テーマの構成銘柄と企業業績
アンチエイジング(ミニ)

・サイバーセキュリティ(ミニ)

・キャッシュレス(ミニ)

・ようこそ日本へ(ミニ)

・もしバフェットが日本株を買ったら(ミニ)

・5G(ミニ)

現在、FOLIOでは計93テーマ(ミニテーマを含む)を公開中です。すべてのテーマはこちらからご覧ください。

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